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今俺達魔法使いが行っているのは『神を呼び起こし、人間の身体にしまい込む儀式』だ。
子供は神の使いの象徴でもあるため、大人よりは子供の方がうまくいくのでは、というろくでもない推測により、今までに十六人の幼い命が惨めな死を迎えた。
先程の男の子はまだ身体が元のままで残っていたようだが、酷いケースだと身体が飛び散ったり、灰になったり、全身の骨が粉砕して、目も当てられないくらいの奇形になる。
俺は六人目の犠牲者から、目を強く閉じることにした。俺以外には嘔吐して退場した人もいる。儀式の中断を求めて追い出された人もいる。そいつは恐らく魔法使いの資格を取り上げられ、魔法使いの社会から追放される。
正しい選択かもな。憧れていた魔法使いのすることがこれなのだから。いくら戦争中で人手不足とは言え、これは非道だ。
そもそも入れようとしている神が、破壊神『ハルゼオルネ』である。だから子供達にあんな悲惨な最期が訪れるのだろうか。
目を開けると、そこには血の海と魔法陣しかなく、先の子供はいなかった。少し頭を動かすと、師匠が視界に入った。
師匠は今、何を思っているのだろうか。この儀式が提案された時からずっと反対してきた人だ。さっきの奴と違って簡単に資格を剥奪されないのは、数少ない大魔術師の資格を持っているからだ。
後ろ姿しか見えないが、頭は魔法陣の中心に向かって固定されていた。たった今入ってきた子供の方に向くことはなかった。
俺は再び目を結ぶ前に、その子を見た。
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