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街中で、高校生が喧嘩の真っ最中。
良く見ると、ひとりは自分と同じ制服を着てる。
----私の名前は、青木澄麗。16才。
この春念願の高校に入ったばかり。
澄麗は喧嘩の横を通り過ぎようとして、ぎょっとした。
誰かに腕を掴まれている…。
恐くて身体が動かない。
恐る恐る掴まれた腕の主を見ると、喧嘩していたあの、同じ学校の生徒だった。
澄麗はどうしていいのか、判らなくて、掴まれた腕を振りほどこうと、必死にもがいたが無理だった。
その、澄麗の腕を掴んだままで、彼は話し出した。
「あんたさぁ…同じ学校じゃん?名前何て言うの?」
「すみれ…です。」
「すみれかぁ~可愛いじゃん?」
そう話す相手に見覚えがある…?
生徒会長…?
「あの…もしかしたら生徒会長さんですか…?」
「ピンポーン。当たり。俺小林柊也。よろしくね?すみれちゃん?」
「は…よろしくお願いします…。」
柊也はふふっと笑いながら言う。
「決まり。すみれは今から俺の彼女。」
えぇ?
それって随分な勝手なわけで…。
「あの!あたしまだ彼女になるって言ってないですけど?」
柊也はふぅんと頷きながら、澄麗の長い髪を引っ張った。
瞬間、引き寄せられて澄麗は柊也の腕の中。
「ほら捕まえた。…すみれってどう書くの?」
「澄んだ麗で澄麗です。」
「澄麗さぁ…俺の噂聞いた事ない?」
確か何か聞いた事があったような…??
「俺が決めた事は絶対なんだけどねぇ。」
柊也はふふっと笑いながら言う。
「それってあたしの意志はなしって事ですか?」
「そういうこと。」
この時の澄麗は、柊也に振り回される生活が待っているとは予想しなかった…。
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