華やかな闇

9/22
前へ
/498ページ
次へ
 ハリスがまだ十九歳、レイチェルは当時十七歳、どちらも子供と呼ぶには育ちすぎ、大人と呼ぶには分別が付かなさすぎた。 「あれから、もう十年も経ってしまいました」  言葉を無くしているハリスに対し、レイチェルが告げる。 「十年、君は余り変わらない。まるで、あの頃のままだ」 「いいえ、時間は私の上にも流れています。私もあの頃のままではありませんわ」  レイチェルはそう言うと、寂しそうにほほえんだ。
/498ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加