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藪下高校で6時間目終了のチャイムが鳴って10分もすると、ほとんどの生徒は校門をくぐり、帰路に着き始めていた。
そんな中、陽一と真希の所属する3-B組には、2人を含む数人の生徒が残っている。
といっても、陽一は帰ろうとしており、他の生徒も今から部活の者だけなので、実質、教室に残っていたのは真希だけだった。
そして、その真希はというと、手紙らしき物をひとりでに且つ熱心に書いている。
そこで、中身が気になった陽一は真希を「一緒に帰らないか」と誘うついでに手紙(?)も見てやろうという馬鹿馬鹿しい計画を立てた。
そして、
「いざ!!!」
と馬鹿っぽく言い放ったところで、計画どうり真希の席へと歩みを進めた。
そして真希の所に着き、それこそ
「いざ!!!」
というところで真希は陽一に気づくや否や
「だっっっ!!!!!!!」
と真希らしくない声をあげ、手紙(?)を両手で覆った。
その反応に陽一もビビったが
「一緒に帰らない?」
とシナリオどうり誘った。
もちろん、横目で手紙らしき物の内容を確認する。
「あ~見えん… あっ見えそう!」
が声に出してしまった。
それに気づいた真希はすかさず手紙(?)を机にしまった。
と同時にすばやく鞄を持ち、空いた手で陽一の背中を押しながら、
「さ、帰りましょ~」
となにもなかったふりをした。
陽一は教室から追い出されてから、後ろを振り向き、真希の机を見つめながら考えた。
「あの机には何が隠されているのだろうか」と。
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