君よ、こっちを見てくれるか

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その日から、私はほぼ毎日図書室に通うようになった。 目的はもちろん恵々子に会うためだ! 長次と仲がよさそうなのを見るのは辛いが…それ以上に恵々子に会える喜びの方が大きい。 だから今日もついつい図書室に行ってしまうのだ。 ガラッ 「恵々子~!」 いつものように私が呼ぶと、君はいつもの微笑みで返してくれる。「小平太先輩」 「恵々子!今日は何の本を読んでいるのだ?」 そう言いながら私は中に入り恵々子の横に腰を下ろす。 「武器についての本ですよ。…私にはまだちょっと難しくて、読むのが大変ですけど…」 「そうか!恵々子でも難しいと思うことあるんだなぁ」 「ふふ、当たり前ですよ~まだまだわからないことだらけです」 恵々子は本を大量に読んでいるだけあって、かなりの知識人だと思う。 後輩だけど、私よりはるかにたくさんのことを知っている。 話すようになって、私はそれを知り、惚れ直すと同時に尊敬の念も芽生えた。 「恵々子はたくさん本を読んでて偉いな。私なんかほとんど読んだことがないぞ!」 「そんなことありませんよ。確かに色々読んでいますが…。」 ここでちょっと頬を赤らめた。 「中在家先輩には劣ります。」 「……そうか。」 長次、なぁ。また長次か。 楽しそうに恵々子は続ける。 「中在家先輩は本当にすごいと思います。私より授業や委員会などで忙しいのに、毎日本を読み、知識を蓄えていて、物識りです。『沈黙の生き字引』とまで言われているんですから…」 「…ああ、そうだな。」 長次のことばっかだな…
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