君よ、こっちを見てくれるか

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恵々子は、長次のことを話すときが一番可愛い顔をしている。 本人が気づいているのかはわからないが…完全に恋する乙女というやつだ。 それを見ているのはただでさえキツいのだが… 「小平太先輩もそう思いますよね!」 満面の笑みで私に同意を求めてくる。 これがなかなか厄介だ… 私は苦笑しながら、 「ああ、そう思うとも!」 と、言うしかない。 おまけに、言いたくないと思ってるはずなのに、 恵々子の喜ぶ顔が見たくて、 「長次は本当にいいやつだぞ!」なんて、長次の話を続けてみたりする。 そう話すたびに恵々子は目を輝かせて話を聞く。 恵々子が長次が好きなのを見ているのは苦しい。 でも、 恵々子が喜んでくれるのは嬉しい。 ……頭がごちゃごちゃする…… 私はどうすりゃいいのだ… ああーっ 普段はいけどんでどうにかなるのに!! 恵々子に対しては、なんだかわからんが、いけいけどんどんでいけないのだ… 恵々子を見ると、幸せだが、苦しくて仕方がないのだ… 気づいてくれ。 こっちを見てくれ。 ほんの少しでいいのだ… 日々、想いは募るばかり。 でも…お前が見ているのは… 私ではなくて……… なぜだ、なぜこんなに………!!
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