いじめっ子の本音

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…あ… 今の拍子に、乱太郎の腕に包帯がぐるぐる巻きになっているのが見えた。 そんなけがさせるつもりはなかった…けど…でも… 私の…せいだ… 私…何て事を…… 「…あれっちょっと、ユキちゃん!?どうしたの!?」 乱太郎が慌て出した。 「へ…?」 「なんでいきなり泣くの?」 「?」 私は目もとを触ってみる。 確かに、涙で濡れていた。 いつのまに泣いてたんだろう。 私が泣いたって、乱太郎のけがが良くなる訳じゃないのに… ポタッ…ポタッ… 涙が布団にこぼれる。 嫌だ…泣きたくないのに… 「…うっ…」 涙が止まらないよ… 「ユキちゃん…泣かないで、元気出して」 乱太郎が頭を撫でてくれる。 なんでこんなに優しいの? あんたにけがさせたのは、私なのに… なんで…なんで… 「乱太郎の…ばかっ」 「えぇっ?私なんかした!?」 「なんでそんなに優しいのよっ!?なんで怒らないの!?ばっかじゃないの!?」 つい、強く言ってしまった。 あーあ…きっと呆れられちゃったよ… でも乱太郎はにっこり笑った。 「怒るわけないじゃん。だってユキちゃんは優しいから。」 「…は?」 予想外の答えだ。 「ユキちゃんが私に優しいから。だから私も優しさを返すんだよ。ただそれだけ。」
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