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最近ボーッとすることが多くなり、まゆちゃんも何か察したらしい。
和月と何かあったのか、なんて訊いてきた。
意外に鋭いなぁ、なんて思いながら結局話した。彼女がいたこと。
そっか…と私の頭を撫でてくる。いつもなら振り払うが、今日はなんとなく何も言わなかった。
話したらちょっとすっきりしたかもしれない。
「もしかしたら別れるかもしれないよ!彼女の愚痴言ってたんでしょ?頑張りなよことちゃん」
「…おう」
情けない返事をしてると、和月がやってきた。
私の表情を見た瞬間に、顔を曇らせる。今の私はどんな顔してんのかな。
「今川さん、琴乃なにかあったの…?」
「えっと、そのー…」
「最近部活キツくてさ。中々思うように歌えなくてイライラしてるだけ」
まゆちゃんが戸惑ったから適当にそれらしい嘘をついた。が、和月は顔を曇らせたままだ。
す、と優しく片方の手首を掴まれる。
「悩みがあったら、たまには俺にも相談しなよ。今川さんでもいいけど、……少しは俺も頼って欲しいし…ね」
へにゃりと笑んで離れて行く。
きゅん、と胸が締め付けられ、思わず顔をしかめてしまった。
優しいな、和月は。
でも、その優しさで私がもっと苦しんでることに気付いてないんだろうな。
そして、その日の夜。
和月からメールがきた。
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