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「―――和月先輩に、もう近寄らないでもらえますか」
怒りしか見えない表情と、冷めた言葉。
放課後になり部活に行こうとしたら、ちょっと可愛らしい女の子に腕を掴まれて睨まれた。
幸い教室には誰もいなくて、二人きりだ。
言葉を聞いてこの子が誰なのかすぐにわかった。
「和月の彼女?」
眉間にしわを寄せて尋ねると、女の子はたじろいだ。ちょっと怖かったのかもしれない、ざまあみやがれだ。
けど、それでも私を睨みつづけてくる。
「知ってるんですね」
「まあ、和月が話してたから」
「…そのクセに昨日デートしたってわけ?」
怒りか哀しみかで声を震わせ、拳を固く握りしめていた。昨日遊んだとこが見られてたらしい。
「理沙、だったっけ。和月から聞いてない?私と和月は友達なんだけど」
「嘘。先輩はともかく、あんたは先輩のこと好きなんでしょ!!」
「……違う」
「ふざけんな。先輩が言ってた、最近ずっと元気がないって。先輩は鈍感だから気付いてないんだろうけど、女のあたしならわかるっつーの!!」
小さく否定すると、理沙は興奮気味に掴みかかってきた。
驚いてそのまま倒されてしまう。
ドガッ
「った……何!?手、出すまでのこと!?」
「自分の彼氏に色目使われて怒らない人がいる!?もう先輩に関わらないでッあの人は私のモノなんだから!!
所詮あんたなんか友達で終わるんだからっ」
ぷち、と血管が切れる音が聞こえた気がした。
押し倒されてた体制を逆にする。
「所詮友達で悪かったな!!でも、和月と話したり、遊んだり出来れば私はそれでいいの!」
「ほら、やっぱり好きなんじゃん!!隠したりして、最低っ」
しばらく、私達は互いに睨みながら掴みあっていた。
カツ、と側で足音が聞こえた。
「―――琴乃、理沙……?」
和月だった。
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