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高校2年生に上がる前の春休み。
部活も休みで暇だった私―――岩城 琴乃は家でテレビを見てた。
けど、昼間のため面白い番組が特にない。遊びに行けばよかった、なんて今更後悔する。
でも誘うの面倒だし、とりあえず―――
「ジュース、飲みたい」
弟に買わせようかとも思ったけど、なんとなく自分で自販機へと足を運んだ。
適当に選び、帰ろうとすると。
ぐ~‥
お腹の音が聞こえた。自販機のあるアスファルトの道の側にある草原から。
覗きこんでみたら、男子らしき頭が。
死んでる?
「生きてますかー?」
一応、声をかけてみる。うつ伏せで大の字に寝ていた彼の指先からは、てんとう虫が飛び立とうとしている。
つん、と頭をつつくと身じろぎし、ゆっくりと頭が上がった。
土や草がついて汚れた顔が、こっちを向く。
私と同じくらいの年っぽい顔立ちだ。
目が合うと、彼は苦笑して頭を掻いた。
「一応、生きてるよ」
透き通るような爽やかな声に、私の胸は自然と高鳴っていた。
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