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新しい教室、新しいクラスメイト、新しく始まる一年。
今は新しい担任の先生に言われ自己紹介をしている。
面倒だが、そんなのはまあ別にどうだっていい。私には興味のないことだし。
ただ、一番気になるのは。
「保志和月です。部活は入ってません。趣味は、んー…ランニングかなぁ。ま、とりあえず一年間よろしくお願いします」
適当に自己紹介してる保志くん。
教室に入って顔を合わせた時には本当に驚いた。でも、それ以上に――‥
『あれ、もしかして岩城さん?』
嬉しかった。
私のことを覚えてくれていた。
これってまさか運命?とか本気でちょっと思っちゃったし。偶然、なんだろうけどさ。
「ことちゃん、ことちゃんってば!聞いてる?」
「………ん?ごめん、全然気付かなかったわ」
目の前にいるのは、同じ部活―――合唱部に入ってる友達の今川 まゆ。今年は同じクラスになったのだが、私と同じく“い”が最初だから席が前後になった。
少しふてくされたような顔をして、私を見つめてくる。
「もう…誰見てたの?」
「え?」
「誰かを熱心に見てたから」
鈍感そうな友人に気付かれたのかと少しドキッとした。幸い、誰を見ていたのかはバレてないみたいだけど。
「そういえば、保志くん…だっけ。あの人と知り合いなの?」
保志くんの名前を出され、ドキッとしてしまう。
「顔合わせた時に嬉しそうに話してたし、好きな人?」
「いや、違うし。ただの知り合いだよ」
無駄にかなり鋭いな、まゆちゃん。この子にバレると面倒そうだし頑張って隠さないと。
………いや、ちょっと待て。
「バレるとかバレないとかって…好きなわけでもないのに、何言ってんの私」
思わず口に出し、ハッとして前を見るとまゆちゃんはもう前を向いていた。
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