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自己紹介はもう終わったらしく、先生が何か話している。
「――と、いうことだ。新しいクラスだが、みんな仲良くな。
では今日はこれで終了!起立」
考えごとしているうちにいつの間にかホームルームが終了。
全然話聞いてなかった。
とりあえず、さっさと部活に行かないと。
「まゆちゃん、遅いと置いてくよ」
「待ってことちゃーん!!まだ靴履き替えてないぃ…」
「ったく…早くしなよ」
ため息をついてまゆちゃんを眺めていたら。肩を誰かに叩かれた。
誰だろう、と後ろを向くと―――
「岩城さん。ちょっといい?」
保志くんだった。
とくん、と自分でもわかるほどの心臓の音が鳴る。
爽やかな笑みを私に向けて、小さなメモ用紙を渡してきた。
「これ、俺のメアドなんだけど……よかったら、いつでもいいからメールくれない?」
「……え」
「何てゆーかさ。
同じクラスになったのもただの偶然に感じないし…まあ簡単に言うと岩井さんと仲良くなりたいから、だね」
ちょっと照れながら言う保志くんが可愛い……なんて変態まがいなこと無意識に思う自分に自己嫌悪してしまう。
何考えてんだろ、私。
でも正直に言うと嬉しかった。
だから貰っておくことにしておこう。
「んじゃ…貰っとくね。メールするわ」
「ありがとう!!楽しみにしてるよ。じゃ、また明日」
「うん、バイバイ」
今日中にメールするかな。
なんでか、メールすることを考えると少し胸がときめいた。……もしかしてこれって、恋とかですか。
「ことちゃん!!」
すっかり存在を忘れていたまゆちゃんに声をかけられ、ちょっとびっくりしてしまった。
そうだ、まゆちゃんいたのか。
「何」
「もうもうもう!!モテちゃってぇ~、付き合い始めたら教えてねっ」
どうやら見られていたようだ。
まゆちゃんはにやにやしながらこっちを見ていた。
相手にするのが面倒だから放置して部活に行くか。
「ちょっと待ってよ~ことちゃん~」
結局私はまゆちゃんを置いていったのだった。
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