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「そっ、それはだな!
えっと………あの………」
何か良い言い訳を考えているのだろう
だが、何も思い浮かばずしどろもどろになっている
そんな彼の様子にカインが口元を右手で押さえて小さく吹き出していた
「カインは何か言い訳は無いの?」
取り乱すラナンは一先ず置き、レイミーがカインに射抜く様な鋭い視線を向けると同時に彼は姿勢を正し、いつもの楽しそうな笑顔に戻る
レイミーの問い掛けにカインは少し考えるように口元に右手を添えた
「う~ん、そうだね~。
……っていうか、ボクってどうして正座させられて怒られているのかな?」
「「………………」」
カインの口から出たその言葉は場を一瞬にして凍らせた
レイミーもラナンも口をポカンと開け、唖然としている
「……何故ってあんた。
一番悪いのはあんたでしょ?
畏れ多くも山奥のお地蔵様に落書きするなんてあり得ないわ」
レイミーは腰を曲げて、覗き込むような姿勢でカインに人差し指を付き出し、捻り出す様に口を開くと、右手を額に当てて嘆息した
その口調は少々震えている
呆れているのか怒りを押さえているのか
ラナンは未だに身を硬直させたまま唖然としていた
「……あぁ、なるほど。その事か」
わざとらしく両手を叩くカインは笑顔のまま言い放った
「あれは大丈夫だよ?
雨が降れば消えるように細工しておいたし」
カインがそう言い、にっと笑った瞬間、ラナンがやってしまったと言わんばかりに右手を額に当て、空を仰ぐ
レイミーの顔がみるみると紅くなっていき、体も小刻みに震えている
カインが首を傾げた途端……
「そう言う問題じゃあ無いわよ。
馬鹿ぁぁあぁぁ」
ラナンの危惧通り、雷が落ちた
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