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「カイン、あんたも良い年なんだから幼稚な悪戯はやめなさい!
良いわね?」
レイミーは溜め息を吐くとカインに念を押す
「うん、分かったよ」
素直に頷いたカインだが、レイミーの視線がラナンに移ったと同時に舌を出していた
全く反省してないようだ
「ラナンも分かったわね?」
何故かラナンまで念を押される羽目に……
「いやいや、おかしいだろ?
どうして何もしていない俺まで言われなきゃならないんだ?」
当然納得のいかないラナンは身を乗り出して反論する
しかし……
「カインを止めなかった時点であんたもしたのと同じよ。
たとえ止めたとしてもカインがやめなかったのなら止めた事にはならないわ」
「うぐっ!」
そう言われてしまってはぐうの音も出ない
「…分かったわね」
「………はい」
先程よりも少し強めの口調で念を押されて、はいとしか答えられなかった
小さく肩を落としたラナンの目にそれは飛び込んできた
レイミーからは死角となるように顔を背けているカインが黒い笑みを浮かべているのだ
ラナンはようやく悟った
またしてもカインに嵌められたと……
そして後悔した
カインと共に朝の体操を終え、その山奥で村の守り神として祀(マツ)られているお地蔵に落書きをすると言い出したのをぶん殴ってでも止めなかった事を……
だが、実際は今更気付いた所で後の祭りであった
後悔先に立たず……である
「カインが馬鹿な事をするからちょっと時間が掛かっちゃったけど、まぁ良いわ。
ウチに戻って朝御飯を済ましたら広場に集合よ!
今日もしっかりとしごいてあげるから覚悟しなさい!」
レイミーの説教が終わった所でしきりにカインに恨めしげな視線を送るラナンとその場で別れ、同じ方向に向かって歩を進めながらレイミーが口を開いた
これから日課の訓練をするのだが、何だか先程と違い、テンションが高い
余程楽しみなのだろうか、言葉とは裏腹に、年相応の可愛らしい笑顔を浮かべている
まぁ、女の子なのに何とも色気の無い話ではあるのだが、そこは気にしない方が良いだろう
嬉々とした様子のレイミーに対してカインは心底嫌そうな顔になる
「え~、やだよ。
レイミー、容赦せずに本気で襲ってくるんだもん」
余程嫌なようだ
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