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―― セレス執務室
珍しく楓様が私をお呼びになった。
確か待ち合わせ場所は私の執務室のフロアロビーだ。
私の執務室はRIVIROの施設から離れ、ハートインレット付近の海の中に存在する。
バカなネロが海中水族館だのと騒いでいたが、海の中に存在するのだから致し方がないか。
「プリム」
私の連隊を率いる娘に声をかけると、にやつき顔で振り返る。
「はぁい? どしたの、セレス姐さん」
プリムの手にはシグルドの盗撮写真。
私は溜め息をついた。
「……私は少し出て来る」
「はぁい、行ってらっしゃーイ」
RIVIROの幹部の証であるロングコートを肩に羽織り、私は自分の執務室から出た。
RIVIROから離れているのだ、主君である楓様にご足労頂くのは臣下の名が廃る。
一面ガラスばりのエレベーターを使い、私は地上へと足を踏み出すと。
「おっと」
「…っ!」
キュイラス殿と鉢合わせた。
思わぬ急接近に私の体は固まり、思わず息を詰めてしまった。
「キュ、キュイラス殿…私に何か用、か?」
「うん。 これから時間あるかい?」
「あ…」
私は楓様の臣下、楓様の命を何より最優先しなければならないにも関わらず、私の気分が降下した。
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