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―― ウォッドタウン
―― 楓 side
私はRIVIROからウォッドタウンに続くゲートの前で、待ち人を大人しく待っていた。
アレウスにはふざけてああ言ったけど、本当は買い物に付き合って欲しいと言われたのだ。
約束の時間まであと5分になった時。
「楓様」
名前を呼ばれて振り返る。
そこには待ち人であるセレスさんだった。
「こんにちはっ!」
「こんにちは。 待たしてしまったかな?」
「いえ、私も今来た所です」
セレスさんは女だてらに戦闘員を束ねる幹部を担っている。
なんでも、元旅団海賊で世界中の海の猛者達を蹴落とし、七大海の女王と呼ばれるほどすごい人だ。
その振る舞いは"女王"の称号に負けず劣らず、堂々としていてアレウスやキュイラスさん、シグルドさんへ間違っていることは間違っていると、当たり前のように言える、格好いい女性。
格好いいにも関わらず、とても綺麗な人。
だから私は、見劣りしないようにちょっとめかし込んで来てたりする。
そんな格好いいセレスさんが私に忠誠を誓ったものだから、RIVIRO上層部は一時騒然としたのだ。
「今日はどんな買い物なんですか?」
「新しい毛皮を見たくて。 それに、楓様も家事ばかりではなく、外に出た方がいいと思ってな」
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