1、凍りついた入学式

18/24

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「恭真、校門まで一緒にいこうぜ!」 恭真の肩をぽんっと軽く叩きながら、チャラ狼の蛍が声をかける。 「ああ、いいけどちょっと訳ありで鞄の中身がぐちゃぐちゃだから、整理するまで待っててくれるか?」 もちろん、鞄がぐちゃぐちゃな原因は朝一気に魔法アイテムや財布、予備の魔法カードなどを突っ込んだこと。そして、ドラゴンのアイスで登校したため、風圧やスピードでもみくちゃにされたからである。 「いいけど、何?もしかして恭真って、意外とキレイ好きなパターン?」 蛍はせっせと鞄を整理する恭真をみながら不思議そうに訪ねる。 「まぁな。」 ドラゴンで登校した。などと言うと「見せろよ!」などと言われて面倒なので、そういうことにしておいた。 「へぇ、意外だなぁ。」 珍しい動物でも見たような目で、恭真を見ている蛍。 「悪い、待たせた。」 「大丈夫、行こうか。」 蛍に軽く謝り、二人でクラスSSを出た 。 下駄箱を出ると左右には広がる一面の芝生の広場、朝は気がつかなかったのだが、きっとこの広場で魔法の練習をしたり、実際に仲間と競ったりするのだろう。 「なあ、恭真?」 不意に名前を呼ばれ、首を100度近く回し、蛍に顔を向けると 「ほら、あそこをみてみろよ。」 蛍に言われるがまま蛍が見ている方向を見ると、右側の芝生の奥に人だかりができているのが、かろうじてわかった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加