『嫉妬』

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嫉妬で虐められた事はあるだろうか? 彼女はその嫉妬という人間の心理によってイジメられている。 二年六組―。 このクラスには二人程『イジメ』られている。 飾鳴弥生(かざなりやよい)と伊豆川品絵(いずかわしなえ)という二人の男女。 いいストレスの発散相手として、春頃から虐められている。 イジメといっても何をするかだが、弥生はパシリやカツアゲの対象で女子からは忌み嫌われているという学校には一人居るタイプ。 対象的に、伊豆川はアイドルの様に可愛く、性格も良かった。勉強もできたが、中学二年のなってからグループのリーダーに嫌われ、現在の様になっている。 「馬鹿らしい」 状況を整理したクラス委員長、雪城風見(ゆきしろかざみ)はクラス名簿を閉じた。 二人の欄にはバツ印が書かれていて、だれかがやったモノだと理解出来る。 こんな状況を放置している先生といえば、まだ22、3の新米女教師だ。頼り無さ過ぎる。 「飾鳴、どうした」 「……、雪城風見。……、なんでもない」 机の横にかけてあった学生鞄を肩に担ぎ、まだ一時間目だと言うのに教室から逃げるように立ち去った。 その光景を見ていた伊豆川は、目の前に仁王立ちしている女子グループのリーダーへ向いた。 下卑た笑みを浮かべている三人は、何かが起きる予兆だと何も考えてなさそうな顔で危惧していた。 「伊豆川さん、なにしてんの?」 「別になんでもないです」 「苛められっ子同士、飾鳴とよろしくやればいいじゃない?」 「私、飾鳴君。嫌いなんですよ」 その言葉を聞いた雪城は嘆息を大きくついた。 苛められっ子同士、慰めてくれると良かったのだがよく考えれば去年から飾鳴を嫌っていた様な節があったのを思い出す。 地味で、男らしくないのに加えて何も言えない所が嫌いだ、と。
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