『嫉妬』

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「お帰り」 弥生の母、景子がリビングから顔を出す。 まだ九時前だと言うのに帰って来た息子に対して何も言わなかった。 それは学校で何をされているか知っているからだ。 無能の先生に愛想が付き、PTAや教育委員会に直談判したりと、いろいろ手を施したが結局何も変わらなかった。 「また辛い事あったのね?」 「……、うん」 大きなリビングの端に置いてある赤いソファーに腰掛け、窓から見える庭を一目見て呟いた。 「人間は、嫌いだ」 その口癖はいつ聞いても、景子は胸を痛める。 それは人間に絶望している証拠だからだ。人間は優しい心も持っている事もあるんだ。と教えてやればよかったと後悔していた。 「お友達が一人でも出来たらいいんだけど……」
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