恋の味。

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しかし、それから1時間たっても2時間たってもあいつは教室に戻って来なかった。 どっかでサボってんだろうな。まぁ、俺には関係ねぇけど。 4時限目が終わり、昼食の時間になった。俺はコンビニで買った菓子パンを持って屋上へ上がった。 もう12月の半ばに入って寒さも厳しくなってきたが、俺は学校の周りの真っ白な景色が好きでよく一人で屋上に行く。 ガチャッ いつものように、屋上のドアを開ける。まさか、先客がいるとは思いもしなかった。 亜紀「…あ…閻魔……。」 冷たい風が吹く屋上で亜紀は一人でいた。 「ちょ、おい。ここで何やってんだよ。サボりか?」 亜紀「そーですよー、誰かさんが視界に入ってくるなって言うからサボってたんですよー。」 亜紀はそう言ってムッとしかめっ面をした。 「あれからずーっとここにいたのかよ?こんな寒ぃとこで。」 亜紀「あんたに言われてしてるんだから、文句ないでしょ……」 瞬間、亜紀は糸が切れた操り人形のように倒れこんだ。とっさに俺は身体を受け止める。 「おいっ!亜紀!しっかりしろっ!」 揺すってもピクリとも動かねぇ。よく見たら顔が真っ青じゃねぇか…。 「クソッ!馬鹿正直にこんなとこにいるやつがあるかよ!!」 俺は亜紀の身体を抱えて保健室まで突っ走った。
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