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兵士の朝は早い。
僕みたいな外国から来たしたっぱ新米兵士は特にだ。
早朝一番の仕事は朝御飯の用意に使う薪の運搬。
これが遅いと王族を含む城住まいの人間の食事の時間が遅れ、部隊長から死ぬほど怒られるのだ。
そう、怒られるのに……
「おーう、頑張れ後輩!あと20往復もすりゃあ終っぞ」
「いやいや、先輩も働いてくださいよっ!?さっきから僕しか運んでないですよ!?」
思わず叫んでしまう僕。
だけども先輩は僕の訴えなどなかったように地面に腰を下ろすと、目を閉じて船を漕ぎ始める。
「先輩っ!?先ぱーいっ!!起きてくださいよっ!また叱られてもいいんですかっ!?」
思わず絶叫気味になってしまう僕。
でも身体はこの仕事に慣れ始めており、叫びながらも薪束を担いでは厨房へと運び込む。
「薪が足んないヨ。火力が上がんないのヨ。早く薪持ってこいヨ」
「待ってください!すぐに、すぐに持ってきますからっ!!」
王族用の特別なメニューと、千人を超える兵隊の食事を作る厨房はまさに戦場。
料理長に怒鳴られ泣きそうになりながら資材置き場に戻ると、先輩は座り込むどころか地べたの上で横になり、本格的に惰眠を貪る体勢になっていた。
「先輩っ!本当に起きてくださいよ!料理長キレてましたよ!?」
「……男に先輩って呼ばれても昂らねえんだよなぁ」
「いや、知りませんよっ!?」
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