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「──河崎?」
!
「.... あ、はい。」
「大丈夫?何度も呼んでたんだけど。」
やばい、
全然仕事が身に入らない。
「す、すみません、編集長。」
編集長である中谷が心配そうに見る。
「体調悪いなら無理しない方が良いわよ。.... .... あと、インタビューの欄のデザインと、日時の詳しい連絡をいれておいて。大丈夫なら。」
「平気です。.... わかりました。」
仕事に影響を出すなんてことしたくない。
それでも河崎の中は寺村の事でいっぱいだった。
度々トイレに行っては、緩み掛ける涙腺と、締め付けられるような悲しみを宥めた。
ほんと、駄目だ。
全然、立ち直れない。
携帯電話を開けば、電話帳にはまだ“寺村大輔”の欄。
メールも、消えないように殆どの余計なものは削除して、
寺村のだけ残すようにしている。
たまに、送ってみることもあった。
もしかしたら、返信が来るんじゃないか。
けど、来るのはリターンズメール。
当たり前だけど....
それでも、酷く悲しくなるとき。
想いを綴っては、願いを込めて。
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