#02

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何とか今日の仕事を終えて、帰宅する。 エレベーターに乗った。 住んでいる8階を押して、“閉“のボタンを押そうとして.... 「──っ、すみませんっ!」 慌てたように人が駆け込んできた。 あ─────── 「.... .... あ.... 」 隣に越してきた、 北山だった。 河崎は、名前など覚えていない。 だが、 その顔だけは、忘れることなどない。 その顔を見るたび、嬉しくなって。 抱き締めたくて。 手を、握ってほしくて。 ────寂しくて。 北山が、話し掛ける。 「えっと、河崎さんですよね.... ?昨日お伺いした、北山です。」 インターホンを出たときに思った。 声を聞いて、一瞬、大輔かと── でも、やっぱり違う。 「.... あの、昨日は何かタイミングが悪かったみたいで.... 」 やだ。 「それとも、俺、気に障る様なこと───」 「.... たいのに.... .... 」 微かに、呟く。 大輔は、居ないのに。 「え?」 北山は、聞き返す。 チン、と、8階に着く。 「えっと──」 「忘れたいのに!どうしているの!?」 「ッ!」 河崎は、叫んだ。 驚いている北山を他所に、エレベーターから出て行った。 苦しいよ────
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