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何とか今日の仕事を終えて、帰宅する。
エレベーターに乗った。
住んでいる8階を押して、“閉“のボタンを押そうとして....
「──っ、すみませんっ!」
慌てたように人が駆け込んできた。
あ───────
「.... .... あ.... 」
隣に越してきた、
北山だった。
河崎は、名前など覚えていない。
だが、
その顔だけは、忘れることなどない。
その顔を見るたび、嬉しくなって。
抱き締めたくて。
手を、握ってほしくて。
────寂しくて。
北山が、話し掛ける。
「えっと、河崎さんですよね.... ?昨日お伺いした、北山です。」
インターホンを出たときに思った。
声を聞いて、一瞬、大輔かと──
でも、やっぱり違う。
「.... あの、昨日は何かタイミングが悪かったみたいで.... 」
やだ。
「それとも、俺、気に障る様なこと───」
「.... たいのに.... .... 」
微かに、呟く。
大輔は、居ないのに。
「え?」
北山は、聞き返す。
チン、と、8階に着く。
「えっと──」
「忘れたいのに!どうしているの!?」
「ッ!」
河崎は、叫んだ。
驚いている北山を他所に、エレベーターから出て行った。
苦しいよ────
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