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「.... .... .... 。」
北山は、エレベーターを降りて直ぐ、
自宅前にいる人物に目を見開いた。
───河崎さん?
思わず、駆け寄った。
「こっ、今晩は.... 河崎さん。」
.... ....
ああ、やっぱり。
目の前の河崎は、北山の顔を見て直ぐに目を反らした。
う.... ....
やべ。
結構ショック.... ....
ガサッ....
俯いた北山の手になにやら感触が伝わった。
河崎が林檎を手渡し、
「あ.... すみません、これ、実家から送られてきたものですので、宜しければ。」
そう言って北山の方を見た。
あ.... ....
.... ....
瞳が....
揺れている。
「あ、有難う御座います.... 。」
何故か高揚する身体。
あれ、
なんだろ、俺。
「───それと、この間は.... 失礼しました.... 。」
「.... あ.... 。」
「.... 貴方は、何も悪くありません.... 私が、動転してしまったんです。」
今度は、河崎が俯いた。
睫毛が少し濡れている。
怯えるような、目が。
「.... .... .... 。」
今にも消え入るような声が。
折れそうな身体が。
「.... 其だけ、謝りたくて.... .... 。」
俺を鷲掴みにした。
「.... それだけ.... です。失礼しました─────────ッ!」
気が付いたら、
戻ろうとする彼女の手を引いて、
抱き締めていた。
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