なぜ急いでいる時に限って厄介ごとに巻き込まれるのだろうか。

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
『久しぶり』という表現に若干の違和感を覚えたが、その言い回しへの疑問を口にする前に雫は本来の自分の目的を思い出す。 こんなところで油を売ってる場合じゃなかった、そういえば。 雫「すみません、ギロさん。僕用事を思い出したんで行きますね。それでは…」 ギロ「え~?ちょっと待ってよ雫おにいちゃん!!」 目の前のギロを避け歩き出そうとしたとたんに袖を引かれ、バランスを崩す。 その力は子供のくせにやたらと強く、もう少し油断していたら転倒していたかもしれない。 『迷惑なんですが』と描かれた顔で振り返るも、対するギロにはまったく効果がないらしく、「今日いいことあったんだよ!!あのね、燐火おねいちゃんがね!…」などと聞いてもいない自慢話を得意げにしだした。 その態度に思わずイラッとしてしまうが、そこで短気を起こす雫ではない。それに相手は明らかに自分より年下の子供だ。冷静にいこう…冷静に…冷静に…… 結局雫はギロの話を一通り聞く羽目になり、そのせいで集合場所に遅刻ギリギリで着くこととなった。 何とか間に合ったから良いものも…ん?そういえば呼び出しは全校生徒にかかっていたはずだが、雫に自慢話を終えたギロは新たな犠牲者を求め、集合場所とは別の方向へ歩いて行ったな。 まぁ、因果応報…ですよね。 完。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!