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「何すか手嶋さ…!?」
「俊輔っっ!!」
貴女はその男の子に飛び付いた。
もちろん、荷物なんてそっちのけだ。
長身の俊輔に抱き付くのは至難の業だ。
貴女はジャンプ力を駆使した。
俊輔は驚きながらも、貴女を落とさないように支えた。
「お前……何で日本に居るんだよ?」
「今さっき帰国したのよ。」
「フランスの学校は!?」
「私、今年から日本の高校に通うことになったのよ。」
「はぁ!?」
貴女はけろっとした顔で言った。
俊輔はどんどん顔が引きつる。
「何なんだろうね、あの子…」
「スカシのやつ、さっきの御堂筋のこと忘れとるなぁ…」
そんな俊輔の友達の声も、2人には届かない。
「とにかく!!……大きくなったわね、俊輔。」
そう言って貴女は俊輔の両頬にキスした。
「会いたかったわ。」
私にはないの?と自分の頬を指す。
俊輔は、はぁ、とため息を吐いてから貴女の両頬にキスした。
「………お帰り。」
貴女はふふっと笑って、ただいま、と返した。
「「「「「えーーーーーー!!!!!!」」」」」
たちまち、周囲は絶叫に包まれた。
総北はともかく、箱根学園までだ。
「ちょっスカシ!なんやその子お前の彼女か!?」
「お前は黙ってろ赤マメツブ!で、どうなんだ今泉!?」
「どっちもうるさいショ…で彼女なんショ?」
質問攻めにあった俊輔はまた盛大にため息をつき、貴女を降ろした。
「えっと、こいつは俺の……」
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