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そんなこんなで入学式だ。今はすべての一年生が演習場に集められている。すでに寝ている生徒もちらほら。これから学園長の挨拶だ。壇上に一人の女性が登る。
「新一年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。学園長のマニラ・コーンです。私の話なんて興味の無い人がほとんどでしょうから、挨拶はもう終わります。これから三年間の学校生活を充実したものにして下さいね。」
彼女は渡やナディの担任だった教師だ。今は結婚して姓が変わっている。彼をフルネームで覚えている人がいれば、彼女が誰と結婚したかわかるだろう。足首で人の体調が解る彼だ。101回プロポーズされて、漸く結婚を考えたとか。夫の精神力は並大抵ではない。
「では、これから来賓の方にご祝辞をいただきます。」
そうアナウンスが会場に響き、壇上に登る来賓。次々と挨拶をしていく。一人で四十分話した来賓もいた。が、どこからともなくシュークリームが飛んできて来賓に直撃し、退場となった。そして、次は式に参上した最後の来賓の挨拶である。
「この町にあるギルド、『妖精の羽』支部副ギルドマスター、ワタル・アマザキだ。よろしく。一応二つ名はあるが、それよりも『音無し』とか『鬼』って呼び名のほうが有名だから、そっちで知っている奴が多いかもな。」
隻腕の男が壇上から挨拶を始めた。ご存知渡さんである。渡の発言で会場がざわつく。
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