第一章 『神成』を継ぐ者

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「お客様」 横からCAさんに声を掛けられたからそっちの方を向くと、何故かそのCAさんは拳銃を持ち、その銃口を俺に向けていた。 「ハイジャックの邪魔ですので席にお戻り下さい」 「いやいやいやいや……」 CAさんの物言いにため息が漏れる。 その時、機内アナウンスが流れてきた。 『皆様、機長のジェームス・マーカスです。当旅客機は我々[砂漠のダイヤ]がハイジャック致しました。目的地は変更されますが、お静かにお願いします』 [砂漠のダイヤ]……最近アメリカを中心に売り出し中の営利犯罪組織だな。思想や理念も無く、金の為に誘拐を繰り返す組織。金が入れば人質を無事に解放する、最近の犯罪組織にしては良心的な部類の組織だったな。 「……まさか、俺達の乗った飛行機がふたつの犯罪組織に狙われていたとは……マジで泣けてくるぜ」 両手を肩の位置まで挙げ、無抵抗の意思を見せる。 (もう絶対、お兄さんと同じ飛行機には乗りません!) 頭の中に、魅子の声が響いた。 ※※※ 俺達を乗せた飛行機は小さな島に着陸した。滑走路なんて通常の飛行場の三分の二位しかない小さな物だったけど、危なげ無く着地出来た。 この技術……飛行機の操縦が出来るだけって訳じゃなさそうだ。機長は本物って事か……。
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