プロローグ

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「兄さん、何か手伝う?」 「おせぇよッ! つか、分かってて聞いたなッ!?」 「……フッ」 で最後に、殊勝な様で生意気なこの女が俺の妹の小早川巫女(こばやかわみこ)だ。 この妹は妹で、親父方の婆ちゃんと間違われる容姿をしている。ガキの頃、クソ親父が「婆ちゃんは歳を取れない呪いをかけられているんだ」と冗談で言っていたが、最近それはマジなんじゃないかと思い初めている。 俺以外全員女のクリスマス会だが、誰一人料理を作ったり、食事の準備を手伝おうとはしなかった。 「つーか、こんだけ女が雁首揃えているのに、誰も料理出来ないってどうなってんだ」 一人立っている俺はため息混じりに愚痴を溢す。 「料理は金を払えば出るものだ。わざわざ作りはしない」 「すまない。料理は訓練項目に入っていなかったんだ」 「そもそも、料理は女性が作るというのが全時代的ですわ」 「そぉねぇ、あたしも料理は苦手だなぁ」 「……狙撃なら得意だ」 「兄さん、実はウチ……台所に立つと立ち眩みがする呪いにかかっているんです」 六人の言い訳にもなっていない返事に、俺はさっきよりも深いため息をついた。 「……泣けてくるぜ」 ※※※ クリスマスイブ……こいつらと知り合ってまだ8ヶ月だというのに、昔からの知り合いの様に馴染んでいる。 今この状況を見ている奴等がいたとして、「俺、こいつらと命のやり取りをしたんだ」と言っても、誰が信じるだろうか? まぁ、話は約8ヶ月前……海外から俺達兄弟が日本に帰ってきた頃に遡る。
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