第一章 『神成』を継ぐ者

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世界各国のトップが同時に暗殺されるという、近代世界史に間違いなく刻まれた事件から早くも十数年の月日が流れた。 その事件は世界恐慌を引き起こし、全世界の景気を悪化させ、同時に犯罪率を跳ね上げた。 銃を持てる国では銃が飛ぶ様に売れ、銃や弾の値段は高騰したが、それでも売れた。 各国は世界恐慌のどさくさに紛れて戦争を始め、多くの死者を出した。だけど、戦争の影響で仕事が増え、景気が好転したのは何とも言えない皮肉と言える。 そんな激動の十年に日本も変わった。……変わらざる得なかった。 本州から離れた島国を巡り、中国や韓国が侵略戦争を仕掛けてきたのだった。日本の憲法九条など、向こうからしたら紙の楯にもなっていなかった。 アメリカは自国の混乱を理由に助けてはくれず、日本は防戦を強いられた。 そんな時、突如中国と韓国から戦争の終了が日本に申し込まれた。 様々な思惑が日本にもあったが、疲弊した国はそれを受け入れた。 中国と韓国が終戦を申し出た裏に、ある男の暗躍があった事は各国の上層部しか知らない事だった。 西暦2025年……日本は一定の平和を保っていた。
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