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しかし、そんな見た目と反して、その男に暴力的な雰囲気は微塵も無い。それ処か理知的な雰囲気さえ纏っている。
見た目がまるで異なっている三人組の関係が分からず、すれ違う人達が思わず振り向いてしまっていた。
場所はアメリカ、ニューヨーク州の空港。金髪や黒髪、茶髪が珍しい場所ではない以上、やはりこの三人組が目立つにはそれなりの理由があった。
「やれやれ……日本に行くのは初めてだな」
男が誰に言うでもなく呟く。
「私達の半分は日本人の血が流れているというのにな」
男に応じる様に、女が淡く微笑む。
「と言いますか、ウチはどうみても純日本人に見えますけど……」
テクテクと二人に遅れない様に歩く少女が眠そうな目を男に向けた。
二人とは圧倒的に歩幅が短い筈なのに、少女が慌てている様子も遅れている様子もない。二人が少女の歩幅に合わせてゆっくり歩いているのだろう。
「まぁ、魅子は婆ちゃん似だからな」
「自分で言うのもなんですが、似過ぎです。隔世遺伝ですか? 魔族大隔世遺伝ですか?」
「いや、俺に言われてもなぁ」
少女の文句に男は苦笑を返す。
「ウチらはどうも、血が濃いみたいですね。アリア姉様はお母様に似ているし、兄さんはお父さんに似ているし……」
少女が女と男に眠そうな目を向ける。
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