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★ ★ ★
「…いい加減に、目を覚ましなさい、レン・スカルフ!」
「ん…?…あ、はいっ」
よく通るソプラノの声に現実に引き戻され、レンは飛び上がった。
顔をあげると、人のいい顔いっぱいに怒りをたたえた女性と目が合う。
彼女は、鋭い目つきで彼を見下ろした。
「スカルフ」
「はい」
「貴方、今、授業中に何をしていらした?」
「…寝ていました」
正直に、レンは答える。
女性は「そうでしょうそうでしょう」と強く頷くと、嘆かわしげにため息をつく。
「貴方が授業を聞く必要もないほどの優等生だということは、よく存じ上げていますわ。しかし、いくらわたくしの授業がつまらないとはいえ、それほどまでにぐっすりと眠られるなんて…」
「あ、あの…、ぐっすりとは…」
「寝てらしたじゃありませんか!」
女性はレンをキッと睨み付ける。
「だって、貴方、時折寝言を言ってらしたもの。なにやら切羽詰まったご様子でしたが、寝言を言えるほどなのですから、その事実だけでも十分、分かりますわ」
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