星に願いを

11/18
前へ
/221ページ
次へ
久々に訪れた街は、たった半年と少しで微妙に変わっていて 一年前に初めて訪れた時には、まさか悠里と再会するなんて微塵にも思いつかなかった 懐かしい思いを巡らせば、愛しい人の姿が目に入った 「潤ちゃん…」 嬉しさと戸惑いの顔をした悠里の影に隠れているの順で… 「順、元気だったか?」 「……うん…」 頭を撫でると俯いて、それでも懸命に笑おうとする姿にキュッとなる 「順にお土産、何がいいか迷ったんだけどな」 紙袋を手渡すと中をのぞき込んで、さっきとは違う自然な笑みが見れた 今まで子供と接する事がなかったから、会社の先輩から聞いて用意したのは、ゲーム機と超次元サッカーとか子供達に人気があるというソフト 「ありがとう!おにい……パパ…」 順の髪の毛がぐちゃぐちゃになるまで撫で回す 「悠里、俺、順と出かけるから 先に帰って晩飯作って待ってて」 一瞬、不安な表情をした悠里が頷いてくれた 「いってらっしゃい 今日は順が好きなハンバーグだからね」 笑顔で送り出してくれて、小さな順の手を握れば、俺の手にすっぽり隠れてしまうほどで 「さぁ、行こう」 少し強引かと思ったけれど、握り返してくれるその温もりが嬉しかった
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

271人が本棚に入れています
本棚に追加