星に願いを

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行き先なんてどこでも良かった 本屋でゲームの攻略本を買い、スポーツ店で順の好きなサッカーチームのTシャツに、ゲーセンに行って遊んだり 即席の父親なんだ それでも順の事を知らな過ぎる自分がもどかしかった 帰り道は既に暗くなっていて 見上げれば、一番星が輝いていた 「「一番星」」 二人で顔を見合わせて、順が声を出して笑う 「ねぇ、ママとおにい…パパは」 「いいんだよ、無理に呼ばなくて 順が呼びたいように呼べばいい 俺は順の父親だけど、その前に順と友達になったんだから」 繋いでいる手に少しだけ力を込める そして、優しく語りかけた 「順がママと二人がいいなら、それでもいいんだ 引っ越したくないなら、この町に残っていいんだよ 順が嫌な事はしたくない」 「えっ……僕…」 「でもね、順もママも大好きだから、こうやって会いに来てもいいかな? 困った事があったら、何でも話しして欲しいし…だめかな?」 順の足が止まって、歩みを止めた 「僕…お兄ちゃんが嫌な訳じゃないんだ ただ…ただ、サヤちゃんと離れるのが寂しくてぇ…」 小さな頬に涙が零れて、繋がれていない手で擦る順が可愛くて そっと両手で順を抱きしめた 「ご‥ごめ…んねぇ…ぅぅ」 「順が謝る事じゃないよ ごめんな、ずっと気付かないで 本当に…ごめんな…」 順が安心するように、前に悠里が俺にしてくれたみたいに、背中をポンポンと優しく叩いて 俺の愛し方で、君達を守っていくって 一番星に誓ったんだ
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