前書き

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 あなたはギリシャ神話のパンドラの箱という話をご存知だろうか。  ギリシャ神話においては比較的知名度が高い話であるから、名前を聞いたことくらいはあるかもしれない。  概要はこうだ。  プロメテウスが天界から火を盗み人類に与えた事に怒ったゼウスが、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るよう神々に命令する。  炎と鍛冶の神ヘーパイストスは泥から彼女の形をつくり、彼女――パンドラは神々から様々な贈り物を与えられた。  アテナからは機織や女のすべき仕事の能力を。  アプロディーテからは男を苦悩させる魅力を。  ヘルメスからは犬のように恥知らずで狡猾な心を与えられた。  そして、神々は最後に彼女に決して開けてはいけないと言い含めて箱を持たせ、エピメテウスの元へ送り込んだ。  美しいパンドラを見たエピメテウスは、兄であるプロメテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず彼女と結婚をしてしまった。  そして、ある日パンドラは好奇心に負けてゼウスから受け取った箱を開いてしまう。  すると、そこから様々な災い――エリスやニュクスの子供たち、疫病、悲嘆、欠乏、犯罪などが飛び出した。  こうして世界には災厄が満ち人々は苦しむことになった。
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