前書き

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 これを聞いてあなたはパンドラを愚かだと思うだろうか。  好奇心に負けた彼女を愚かだと思えるだろうか。  人間が持つ好奇心は時に非日常の扉を開くことを君たちは覚えて置かなくてはならない。  そして、覚悟しなくてはならない。後悔するくらいなら好奇心を押し殺すことだ。これは忠告だ。  非日常に踏み込むということは、底無しの泥沼に足を突っ込んでしまったのと同じことなのだから。  残念ながら私は非日常に足を突っ込んでしまった人間の一人だ。  私はパンドラを愚かだとは思わない。否、思えないのだ。  そして、私は後悔していない。これが私にとっての罰ならば後悔はない。  私が開けたパンドラの箱には、私にとっての災厄が入っていたのだった――。
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