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「実はね、四回目があったんです。今日未明、その犯人の一人が牢の中でバラバラになり箱詰めにされていたらしいんですよ」
わざとらしく榊原は声を潜めた。彼なりにムードを出しているらしいが、私には疑念が残っていた。
「そんなバカな話があるか、牢の中でどうやって箱詰めにされるんだ? 看守は一体何をしてんだそれ」
「ですから、呪いなんですよ! これは調べなければならない匂いがしてきませんか! 記者魂が疼きませんか! こうしちゃいられないでしょう!」
榊原は何故かやたらとテンションが高い。私は煙草の煙を吐き出しながら屋上から街並みを眺めた。
変わらない、高層ビルが立ち並ぶ街。人々がせわしなく歩いている、あまりにも平和な街。
非日常の刺激を体が求めているのは、いつものことだった。
「わかった。まずはその呪いの石とやらが何なのか調べること、噂がどこまで広まっているか、事件の共通点を独自に調べてみよう」
「よろしくお願いしますね高岸先輩!」
こいつが私のことを先輩呼ばわりする時は何かいいことがあったときだけである。それ以外は社長として私に接することにしているらしい。
しかし、私にとっても彼は大事な雇い主であり、大事な後輩でもある。
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