歩く歩く

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おいおい何なんだろうな。 男は歩いている。軽くふらつく。それとも眩暈の振りをしているのか。 目には絶望、羨望、希望、願望、乱暴な炎が一色たになって煌煌と、それでいてちらちらと堕落と妥協で光って…いる。 この世界は……ははっ。狂ってやがる。 俺を俺であらしめるものって何だい? お前答えれるか? いや、知ってるよお前は。 直視できないんだよ。 理解しようとしたくないんだよ。 認めてしまえば俺はそれでお前はあれで…区別なんか無くなる。 所詮人間様が作ったものだ。 いやいや、本当に作ったのか?夢でない証拠なんぞガリガリ君の当たりが出るより発見困難なんだ。そうだろ? お前は知っているんだろ? そもそも夢ってなんだ?レム睡眠が深く眠って、気持ちが悪くなって脳が網膜に焼き付ける残像か? ほらな。夢が何故夢たるかさえ知らんのだ。科学でなど解き明かせるはずがない。 無知は罪。無知は力。無知は畏怖。 さて、お前は何に使いたい? 陸上競技場にあるハードル80m。潜って考えようじゃない。 脳のシナプスを巡る信号は光と二分の一の速さみたいだ。ぶっ飛んでみたくなるだろ? なら……お前はどーする? そりゃ飛ばずにはいられないね。さぁ飛べよ。どこだっていーよ。好きな所に好きな方法で好きに時間をかけて飛べよ。 こっちだって好き勝手やるさ。 あっはっは。墜ちやがる。イカロスの羽根よりナイスな脆さだ。 別に熱に弱いわけじゃないぜ? 「熱」の裏切りに弱いだけなんだ。 だからね。もっともっと羽根がいる。冷ややかさがいる。そして何より「熱」がいる。 ここで無知を使ってみたいとは思わないかい?それに気が付かないなど愚の骨頂さ。そしてそれを傍観する俺は……滑稽で当てはまる言葉すら…見つからない。
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