獣道
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だが、彼とてその時を心待にしていた。震える足をこらえ、両の手に持つ本を汗汗と開き、中性的な声色に、厳かに詠みあげる。 古き声よ、響けよ 感嘆の関を轟かせ 永なる日を此れ、灯さん 彼が詠みあげると共に、その物々しい本は、ごうと照る、と同時に、幾つもの光芒が獣を貫いた。 獣は血煙あげ、一つ鳴いて倒れたきり、ぴくりとも動かない。後には、おびただしい鮮血と血生臭さが蔓延るばかりであった。
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