獣道

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ノバルは、見習い魔導師である。森から南方へ、山を一つ越えた所にノバルの村はある。其処では、日々、獣を狩り、皮を剥いで装飾品としたり、肉を燻製にし、日々の暮らしを保っている。 皆が皆、獲物を持ち、獣を狩る。ノバルとてそれは例外でなく、今日、初めて森へと獣を狩りに来ていた。 がさがさと茂みが揺れる音が聞こえ、眺めるばかりであったノバルははたと、滞っていた手足の感覚が戻ってきた気がした。絶え絶えだった呼吸も随分落ち着きを取り戻していた。 額ににじんだ、汗を腕で拭い、茂みに隠していた木組みの台車に載せるため、おそろおそろに獣の足首を掴む。
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