素。

とくには意味もなく

　夜、父親は私を見てすぐ「ハッピーバースディ！」なんて言って、それが嬉しかったけれどもでも冷たく返した。

弟はこの時誕生日ということに気づいたらしい。

父親とは不仲というほどでもないのだけれど、間が悪く誕生日の前日に喧嘩のようなことをしてしまっていた。だから素直に返せなかった。ここは少し後悔したのだけれども。

夜ご飯はせめて私の大好きなオムライスでも出てくるんじゃないか。母親は一応形として母親らしいことをたまにはするから。

なんて何となく期待していたんだけれども、無理だった。ピザの配達。
別に誕生日だからということじゃなくて、ピザなんてしかも珍しくもない。今月でもう２、３回目。

ピザに限らず月の半分はコンビニ弁当だったり配達弁当だったりマックだったり、もう慣れたから今更何も言わないけれど。

ただそれによって気分が更に落ちたのは確実だったと思う。