優菜、21才

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「だからぁ、あたしは21だってば~。」 「嘘だろ、どう見ても16にしか見えないぞ。逮捕してやる。」 田舎の街道から、一本外れた旧道に、その店、スナック潤はあった。 あたしは優菜。 あたしに酔っぱらって絡んでいるのは、地元の警官。 確かに21才には見えない。 童顔で、見た目だけ可愛いタイプの優菜は、いつも酔っぱらいに絡まれる羽目になる。 あくまでも可愛いのは見た目だけだけど。 「それよりお巡りさんが、そんなに酔っぱらっていいの?」 「たまには酒でも呑まなきゃやってらんねぇよ。」 「何で?そんなに大変なの?」 「縦社会だからな~。俺みたいなペーペーは上には逆らえないんだよ。」 あっそ。 興味なさそうにビールをぐいっと呑んだ。 「優菜ちゃん、こっち来て歌歌って。リクエストは松田聖子。」 「はぁ~い、じゃあメドレーで歌っていい?」 ゴン! ママに後部からぶん殴られた。 「優菜、あんたは歌ってばっかりだろ。酌しろ、酌~ぅいっく。」 「いってぇ~。ママまた酔っぱらってんじゃんか。」 既にママは出来上がってて、目が座ってる。 見ればジンロのビンが空っぽになっていた。 ひとりで呑んだのかよ?
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