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「ひっく!うるせぇんだよ。安希、ボトル出せよ。」
この店は、客より女の子の方が威張っている。
特に一番態度がでかいのは、酔っぱらったママだった。
でも何故かこの滅茶苦茶な店が毎日満員御礼というのは、この世の七不思議に数えてもいいんじゃないのかな。
「安希ちゃん可愛いよね。俺と付き合わない?」
「また…、スナックで女の子口説いても虚しいだけだよ。」
安希は、浅香唯によく似ていたけど、声に物凄く特徴があって、絶対に歌は歌わない。
優菜は、カラオケと酒と、祭りで声を潰していたので、このふたりは時たまオカマに間違われる。
このメロンの産地にあるスナックの客層は、もちろんメロン農家。
それと農協職員で八割方をしめている。
なので飲み方が半端ない。
ウイスキーをストレートで呑む最強のメロン農家の長男がいたりとか。
何でも日中のメロンハウスの中の温度は60℃まで上がるらしいから。
だから前の日どんなに呑んでも、ハウスの中で全部汗になってしまうらしい。
高いお金払って呑んで、次の日には汗で流れてしまうって勿体なくないのかな?
ま、どうせメロンで荒稼ぎしてるから、場末のスナックの呑み代なんて、何ともないんだよね。
ただね…。
やっぱりスナックで女の子口説くのはかなり難しい事かもね。
「優菜、俺の嫁さんになってくれよ。」
「何で?」
「優菜ならメロンハウスでも使えるから。」
こいつ
ぶん殴ったろか。
「ふん!あたし彼氏いるし。」
普通のスナックでは禁句の彼氏いるも、この店は全く関係ない。
だってそれでも口説くし、嫁に来てくれとか言われるもん。
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