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そして俺らは、
二人で始末屋を始めた。
ちゃんと腹くくって、キングの意志と誇りを継いでくと決めたキミ、否『マック』と俺と、二人で。
『マック』が付けてくれた『ジャッキー』として
俺は、新しい人生を歩み出した。
* * *
『……っ……、ジャッキー!!こっちや…!』
それから、俺はマックと二人で依頼をこなすようになった。
まだ独り立ちするには早過ぎたマック。
この世界に入ったばっかで慣れない俺。
危ないヤマにも遭遇して、死にかけた事もある。
そんなある日やった。
二人で乗り込んだ場所で、やる事あるからお前は雑魚片しとけと言われて、マックと別れた。
そして俺が数だけの奴らとやり合ってた最中に、一発の銃声が響いた――。
慌てて片して、マックが消えた方を目指す。
駆け付けた先には、胸元から血を流して倒れてるスーツに身を包んだ男と
拳銃を手にして立っているマック。
『……ジャッキー。』
表情は見えない。
でも、声の固さが全てを物語る。
『俺とこの世界で生きてくっちゅうのは、………こゆ事やで。』
静かに俺を見やるマックの目は、暗い色をともしてる。
意味がわからないわけはない。
真っ当な生き方から外れるなんちゅう事は、あの日アイツを抱いた夜が明けた時から覚悟している。
『かまへんよ。俺はもう、とっくに腹くくっとる。それでもお前の隣におるって決めとるからな。』
『…アホやな。』
『しゃあないやん。』
『それでも俺を選ぶっちゅう事は、自分地獄に堕ちてもかまへんて事やで?』
『かまへんよ。地獄でもどこでも付き合うたるわ。』
そう笑って言えば、立ち尽くしていたマックがこちらに向かって歩いてくる。
『ほな、帰るで。………ジャッキー。』
そう、ニヤリと微笑む蝶と共に、夜の闇に混じって消えよう。
ジャッキーとして生きる俺の世界は、この闇なんやから―――。
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