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「…………おん。」
「……なんや、もう起きとったん?」
「……起きとったんちゃうな。寝れんかってん。」
「……何で?」
「…ガムの奴が、まぁたネコ連れて来よったんやろうな。アレルギー酷くてもう…くしゃみ止まらんわ鼻つまって寝れへんわでもう最悪や!
ほんまアイツ叩き起こして夜中に掃除さそ思たんやけど、アイツ全然起きひんし…!!しゃあないから明け方完全防備で全面掃除したっちゅうねん!もう最っ悪や!」
「…なんや。そない大変やったら俺起こせば良かったやん。手伝ったで?」
「……………。」
「……マック?」
「……最近お前、仕事立て込んでたやろ。」
「………あー……」
「…あと言わすなや。」
そう言って、バーカウンターに座っていたマックはぷいと顔を逸らした。
こういうとこ、ほんまに何も変わらへんな。
全部自分で背負おうとする。
マックの悪い癖や。
「……変なとこで意地張るなって、あん時ゆうたの忘れたか?」
「………。」
「……俺ら二人の間では、遠慮は無しやって。」
あん時。
それは、俺らが始末屋を始めるきっかけの日や。
マックが仕事止めたっちゅう話を聞いた後、一人全く連絡つかなくなって心配しとった。
何か悪い事件にでも巻き込まれたんかって、凄く心配やった。
言わんかったけど、ずっと俺にとってアイツは『特別』やったからや。
表裏一体の、分身みたいなもんかて思とった。
せやけど、違ったんや。
『……お前、連絡もせぇへんで何してたんや!皆、心配してたんやぞ!』
久しぶりのアイツの電話に開口一番、そう怒鳴った後の、一言やった。
なんや久しぶりに俺の声聞いたからっちゅーて涙声にいきなりなりよって…。
思わず、場所聞いて走り出しとった。
コイツは俺がおらんと、一人で強がって無理ばっかしてまうんやろなって。
そばにいてやらなアカンなって。
そう思った。
それから、俺らはキミとシンゴて名前を捨てた。
マックとジャッキーとして、この世界で生きてこう思たんや。
「………キミ。」
「……!!?」
大袈裟に俺を見上げる瞳を静かに見つめる。
「……もっと俺の事、頼ってええねんからな。」
「…………。」
いつだって、俺はお前の味方やねんから――――。
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