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『………ヒナ…。』
あの日。
電話越しに聞こえたアイツの声。
今にも消えそうで。
いてもたってもいられんくなった。
『…何や久しぶりにお前の声聞いたらホッとしたわ……。
…ぁー………………アカン。やっぱ何でもないわ、じゃあ…。』
『……ちょ、待て!待てや!!じゃあ、やあらへんやろ!?全然何でもあらへんやろ!?
お前今どこにおるん!?
すぐ行くから!
俺今からそっち行くから!!!
…………だから、な。
今どこにおるんや?…なぁ、キミ…!』
『……………。』
そして告げられた場所。
そこが俺らの始まりだった。
古ぼけた汚いビル。
言われた階に上がれば、そこは小さな事務所やった。
『キング』の事務所。
キミを変えた男の場所。
そこが、俺とキミの二度目のはじまりの場所。
『ジャッキー』と『マック』の生まれた場所。
あの日の事は、きっと一生忘れへん。
* * *
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