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あの日、きっと。
初めてアイツを見た瞬間から。
俺はアイツに自分の影を重ねとったのかもしれん――――。
* * *
『…なぁなぁ!俺な、信五ゆうねんけどさ!仲良ぉせぇへん?な!!』
『………。』
『名前くらい教えたってくれてもええやん!な?友達になろうや。』
『………。』
『…教えてくれへんから先生に聞いたで?キミ言うんやってな!ええ名前やんけ、もっと自慢したらな。』
『………。』
『…まぁた一人ぼっちか?毎日毎日つまらんやろ?な、一緒に遊ぼうや、キミ。』
『………。』
カーテンの隙間から射す日の光に、小さく身じろぎをしながらジャッキーはそっと目を覚ました。
「…なんやえらい懐かしい夢やったなぁ……。」
まだまだ自分が小さい頃。俺らがまだ、ジャッキーでも、マックでも無かった頃。
こどもの家に、初めてマックがやってきた日だ。
チラリと職員室で見た彼の、何とも言えない不機嫌な顔は、今だに忘れやしない。それと同時に、頑なに俺をシカトし続けたアイツの無愛想な顔も。
まさかこんな鮮明に、あの頃の記憶を夢で見るとは思いもしなかった。
「……………。」
今思えば不思議なくらい、俺はマックに強い執着を抱いていたと思う。
それはほとんど直感で、内に隠した『俺自身』がそこに現れたみたいに感じたからだ。
孤独で。
殻に篭って自分を守って。
同じやったから、ほっとけなかった。
俺の抱える闇が、そこにはおったんや。
そして、静かにベッドから降りると、いつもの如く皆の朝食作らなと部屋を出た。
* * *
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