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ネヴァルはゲルバルトには何も聞かず、城の兵や使用人達に、負傷した者達を連れ一刻も早く城から脱出する様にと命令を下す
先ほどの男に倒された者達はアンナを含め全員気絶させられていたに過ぎなかった
焼け落ちる城の外
「お前達をここまで追い詰めるとは只の賊ではなかった様だな……
多分先ほどの男ではなかろう…」
「………」
(貴方に心当たりがあるのでは?)
喉元迄出た言葉を飲み込む…
何故かあの男の事を聞いて良いものか……
判断する事が出来なかった…
「……母上もなんと言う事を……
ゲルバルト、一つだけ教えて欲しい、イオン様は無事なのか?」
「それを聞いていかがいたす所存なのです?」
「…………フッ
どうやら、無事だった様だな。
余り無茶をするな…
イオン様にはお前が必要なのだから…」
ネヴァルは心底嬉しそうな笑顔を向ける。
(どこまで本気なのだか…)
「私は貴方を殺そうとしていると言うのに…」
ゲルバルトが一人言を漏らした時、ネヴァルそこにはいなかった、城の兵や使用人達に指示をかけ、城の消火にあたっていた。
後にこの事件は表向きには『蛮族の襲撃』としてのみ報告され、ゲルバルトに責任が及ぶ事はなかったのである。
しかし、翌日にはアンナ達数名の負傷者を残し、ゲルバルトとその部下達の姿は屋敷から消えていた
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