2・孤城炎上

23/25

56人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
屋敷の炎上より数日立つが屋敷はまだ混乱の中にある 屋敷の襲撃者は不明なまま 翌日から姿の見えぬゲルバルト達は襲撃者の捜索に出ている事とされていた ネヴァルは事後処理に追われいたが帝都の公爵ナイトハルトが帰還する ナイトハルト公はイオン探索の為ゼッケル領に残り政務にあたってくれるとのことだ 公の代行を勤めていたネヴァルは、本来であれば公の補佐に就かなければならなかったのだが、イオン達の捜索をナイトハルト公に願い出たのだった… ナイトハルト公はこの願いを聞き入れ、ネヴァルに捜索の許可を出す ネヴァルはもう一つの願いのために公の執務室へ 人払いを済ませた部屋には公爵とネヴァルの姿が… 「ナイトハルト公 もう一つお願いがあるのですが」 「なんだ申してみよ…」 「ある命令書を公爵の名で出して頂きたいのです… ………………………と」 「………構わぬが……お前は本当に良いのか?…」 「…はい…近年の彼女の暴走を止めるには最早この手段しか…」 「そこまでの覚悟か…… 良かろう………」 「ありがとうございます…」 前から準備してあったのか書簡の箱を公爵の前に… 「用意の良いことだ…」 中を確認すると、公爵はサインをし公爵家のみが使用可能な蝋印で封をした書簡を数通ネヴァルへと 書簡を受け取ったネヴァルは部屋を後にする ネヴァルは屋敷に残ったアンナの元へと… 「アンナ ゲルバルト達に連絡がつけられるだろうか?」 「ゲルバルト様達に連絡などと…どういうつもりですか…」 「これを彼等に渡して貰いたい…」 ネヴァルは公爵より頂いた命令書の一通を彼女に預ける… 「これは…?」 中を確認する様に促す 「………本気……なのですか…?」 「では、頼みます」 そう言って、何処か晴れ晴れとした様子で命令書をアンナに手渡し 「急ぎますので…」とその場を去る 彼の背を見送りながら… 「同じ思いを持ちながら、どうしてこうも我等の道は分かたれたのでしょう…ゲルバルト様…」 と書簡を胸に抱き… 「一刻も早く届けねば…」とアンナの姿も屋敷から消えた…
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加