2・孤城炎上

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屋敷の炎上という事態により イオン暗殺は失敗に終わる… ババアのヒステリックな喚き声にヘキヘキしたが、あの男達が来たためにやっと解放された… 追い出された部屋からはババアの謝罪と懇願の声が漏れる 彼等に無断で事を起こした事が気に入らなかった様だな… 「まったく…馬鹿らし………」 下らない連中の下らない事情に振り回されるのに嫌気がさす… 「クスクス… ずいぶん不機嫌ね」 黒衣の女が声をかけてきた 「…………」 「あら挨拶位したらどうなの?ナヴァ」 「お久しぶりです…ナーデリア様……」 「良く出来ました……クスクス」 10年前に会ったこの女は茶色の髪の緑の瞳の少女だった… 今目の前に居る女は銀褐色の髪の薄い紫色の瞳だ… 髪色や瞳の色違いダケでは無い 明らかに別人だ… しかし、彼女は間違いなぐナーデリア゙なのだ… 「あの子が勝手に動くからお兄様がお怒りだわ 一生懸命で可愛いのにね 貴方は振り回されて大変でしょうけど…」 あのババアの何処が可愛いだ…… 「ババアなんてお母さんが可哀想よ」 「…俺に…母などいない…」 「クスクス…居るのはお兄ちゃんだけ?」 「……」 「あのね、ナヴァにお願いがあるんだけど」  「仕事ですか」 「゙お願い゙よ この女を始末して来て あの子欲を出しすぎたから…もう要らないわ…」 と紙を差し出す、それは1枚の手配書だ… この女もコイツのコマだった筈なのにな… 飽きたオモチャでも捨てる様に簡単に言ってくる雇い主に反吐が出そうだ…… 「じゃあ、お願いね、私の可愛いお人形さん バイバイ…」 そう言うと女は軽やかに踊るようにステップを踏みながら去って行く… 「ちきしょう!」と壁に拳を叩きつけ 「……様」もう会うことも叶わぬ只一人のために…そう言い聞かせ…その場を後にする
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